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【げんき住宅ストーリー 第2話】大手メーカーで見た、”呼吸しない家”という現実
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2026.09.15げんきブログ
前回は、西の父が営んでいた左官業と、微生物が生きる「土壁」が家を呼吸させていたお話をしました。
今回は、その記憶を胸に抱えたまま、西が大手住宅メーカーで働いていた頃の話です。
効率化された現場で、次々と建っていく家
大手メーカーでの仕事は、決して悪いものではありませんでした。工期は正確に管理され、資材は規格化され、誰が建てても一定の品質が保たれる。ビニールクロスの内装、気密性の高いサッシ、最新の断熱材。数字の上では、どれも申し分のない性能でした。
現場は毎月のように新しい家を完成させ、引き渡していきます。効率という点では、父が一枚一枚土壁を塗っていた時代とは比べ物にならないスピードでした。
それでも消えなかった、あの違和感
けれど西の中には、拭えない違和感がずっとありました。
高気密・高断熱とうたわれた家の多くは、確かに隙間風は少ない。その代わり、機械換気に頼らなければ空気がこもる。24時間換気システムを止めれば、たちまち湿気や臭いが室内に滞留してしまう。
「この家で家族が安らぎ、健康的にすごせるのか」
父の土壁は、誰に言われるでもなく、勝手に湿気を吸ったり吐いたりしていました。電気も機械も使わずに。それは壁の性能自慢のためではなく、そこに暮らす家族が、じめじめしたカビ臭さに悩まされることなく、安心して眠れる夜を過ごすためのものでした。
西が今、現場で見ている家は、性能表示こそ立派でも、電源を切れば呼吸を止めてしまう。その先で、実際に暮らす家族はどうなるのか。
完成後の家を、何年後かに見て気づいたこと
さらに西を悩ませたのは、引き渡してから数年、数十年経った家々の様子でした。
見た目には綺麗でも、壁の中で結露が起き、柱や土台がじわじわと傷んでいるケースを目にすることが少なくありませんでした。表からは見えない場所でカビや湿気がこもり、そこで暮らす家族の咳が続いたり、肌の調子を崩したりする話も、決して珍しくはありませんでした。
家の寿命が縮むこと以上に西の心に引っかかったのは、その家で毎日を過ごす家族の健康そのものが、静かに損なわれているかもしれないということでした。
土壁はあくまで一つの手段にすぎません。本当に取り戻したかったのは、壁の中の技術そのものではなく、「この家に暮らす家族が、心から健康に、元気に過ごせているか」という、父の代から変わらない一番シンプルな問いでした。
西の中で、小さな違和感は、はっきりとした一つの問いに変わっていきました。
「この会社の中にいる限り、家族が本当に健康に暮らせる家には辿り着けないのではないか」
次回は、日本の住宅の”寿命”について、データを交えながらこの問題の大きさを見ていきます。
― 第3話「日本の家の寿命はなぜアメリカの半分なのか」へ続く ―
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